看護師による動脈からの採血は違法か

動脈採血は医行為、看護師による動脈からの採血は違法か

病院での検査の一つに採血というものがありますが、この採血には3つの種類があるということはご存知ですか?通常の検査に使われる場合に行われているのが静脈採血です。その他に主に血液ガス分析に使用される動脈採血、そしてもう一つ毛細血管採血という採血法がありますが、毛細血管採血は採血が難しい乳幼児に用いられていたものの最近ではあまり使われなくなりました。

主に血液ガス分析に使用される動脈採血では、呼吸の状態・肺における酸素化・体内の酸や塩基平衡を調べることが目的とされています。対象となるのは呼吸不全や意識障害、ショックなどの重い症状が表れる患者。また手術の前後に呼吸機能を詳しく調べる必要がある場合にも用いられます。この動脈採血には、手技と呼ばれる採血の手順があります。動脈に注射針を刺す必要があるため、看護師ではなく医師の仕事、いわゆる医行為(医業)と定められています。

一般的には看護師による動脈採血は違法という認識は広まっています。ところがそれを禁止する条文は見当たらないこともあり、明確な線引きは難しいところです。実際、看護師によって動脈採血が行われているという場面も少なくはなく、その病院によっては「医師の指示のもと」に看護師が動脈採血を行うのが当たり前となっているケースもあるようです。

今、盛んに看護師の業務拡大の是非についての議論が交わされています。それに伴う法改正が進むとすれば、この動脈採血も看護師の業務となる可能性が出てきます。医療行為の一部を特別な資格を取得した看護師が行う「特定看護師(仮称)」を創ろうという動きもあり、検討作業が続けられています。

いずれにせよ静脈採血に比べ痛みが大きく、神経を損傷する可能性も伴うとされる動脈採血。止血法も5分以上の圧迫止血を施さないと皮下出血を引き起こすなど、静脈採血に比べリスクを伴うものですので、医療や看護だけではなく患者の立場に立ってより安全な採血が行われるよう検証を続けることが求められています。