ナースの医療行為範囲拡大の行方

患者の約9割は賛成、ナースの医療行為範囲拡大の行方

医師の指示なく看護師が医療行為を行うことについて、どのように思われますか?この是非については現在、厚生労働省を中心に活発に議論がなされています。その議論に壁となるのが法律の問題。そして医療の質の低下を懸念する意見です。

保健師助産師看護師法の中では、看護師の業務は、療養上の世話や診療の補助と書かれています。また診療の補助は医師の指示に従わなければならない、とも定められています。また医師法には、医師でなければ、医療行為をしてならない、という規定があります。

現状で看護師が行える医療行為はごくごく限られているのは、これらの法律の定めによるものです。医療行為は医師の独占業務によるものと認められていますので、これらの法律の壁を越えるのは容易ではないでしょう。

既にアメリカやイギリスでは特定の資格を取得した看護師が経験を積んだ後で、医師の指示なく医療行為をすることが許されています。日本でも同様の「特定の資格」を設けてはどうか、という動きも出てはいるのですが、責任の範囲やその資格に対する待遇についてなど、それに伴い定められなければならない事柄が非常に多くなります。逆に看護師の資格を持つ全ての人に範囲を広げることは危険を伴い、結果的に医療の質を下げるのではという意見も多く上がっています。

患者側の約9割が看護師の医療行為の範囲拡大に対し賛成という意見を挙げるのは「医療費の軽減」に期待する気持ちも多く込められているようです。また診療時間の短縮化など、医療というサービスを受けるにあたり「安く」より「早く」を患者が望むのは当たり前のことのようにも感じます。しかし、静脈注射ですら診療補助行為と定められて10年程度にしかならず、患者側が望むようなサービスの向上には、かなりの年月が費やされることでしょう。

看護師の医療行為の範囲を拡大するということは、看護師の負担が増えることにもつながります。それが結果的に患者側により良いサービスを提供できないという悪循環につながることも懸念されています。さらに看護師の離職率が上がることを心配する声もあります。

こういった問題点の解決には、いろいろな角度からの検証画筆要です。よりよい医療サービスの提供に向けて、これからもさまざまな議論の機会を持つことが迫られています。